「褒める」ということ

 人は本能的に自分を褒めず、マイナスの部分を見てしまう生き物です。そうした心の視野を広げ、物事や人のプラス部分に光を当てることが「褒める」こと。相手を褒めるためには、まずは自分自身を認めて自分を満たしましょう。「褒める」達人になれば、会社の業績向上、離職率低下、人間関係の良好化へとつながります。

 褒めると叱るには共に相手の成長を願う「愛」があります。愛があればどう伝えてもいいのでなく、大切なのは、日頃からの関係性。日常、どれだけ相手のいい所を見つけ伝えているか。「褒め貯金」がどれだけあるか。ルールを破ったり、リスクを考えたり、叱る必要がある時に「叱る」。その後、どれだけ改善したか、伝えて褒める。叱りは褒めるで完結することが肝要。

 叱る時、怒鳴る人がいます。人間の脳は、怒鳴られると防衛本能が働き、パニックに陥り、じっくり考えたり物事を理解したりする能力が極端に減ります。指導したい、伝えたいことがあっても、怒鳴れば相手の頭に入らない。科学的にも怒鳴る指導は良くないと証明されています。ミスをした人には、傾聴と共感が大切です。相手の心の扉を開いた上で、「次はこうしたらどうか」を伝え、一緒に考える。聞き上手のポイントは、目を見る、うなずく、相づちを打つ、繰り返す、メモを取る、要約する。そして大事なのが笑顔です。

 上司が部下を叱る時、上司の6割以上が数分以内に気持ちを切り替えるのに、叱られた側の20%以上は1年以上引きずるというデータがあります。マイナスな言葉は周囲の人も不快にさせ、悪い印象を与え、人間関係が悪化します。何げなく口にした言葉も、積もり積もればその人の品性となります。例えば仕事終わりに「疲れた」ではなく「頑張った」なるべくプラスの言葉を使うこと。異なる意見には「そう来るか」、相手に直してほしい場合は「惜しい」。まずは「すごい」「さすが」「素晴らしい」と褒め、後はそこから考えましょう。