フレイルは防げる①

 フレイルとは、「虚弱」という意味で、健康な状態と要介護状態の中間地点に当たる、心身の衰えた状態のことを言います。大別して、足腰や筋力が衰える身体的なフレイル、認知機能の低下やうつ状態など心(メンタル)のフレイル、ひきこもりや一人暮らし、貧困など社会的なフレイルなどがあり、各要素が絡み合い、自立度が落ちていきます。

私の一冊

杉山慎 著

中央公論新社(中央新書) 2021年11月刊

「南極の氷に何が起きているか」気候変動と氷床の科学

 南極の氷床(大陸全体を覆う氷河)の面積は日本の約40倍。地球最大の氷の塊である。厚さは平均2000メートル、4000メートル超の場所もある。南極の氷が完全に融解して、海水準(陸地に対する海水面の高さ)が50メートル上昇したとすると、日本の国土の17%が海に沈むという。北海道は東西で二つの島に分かれるらしい。

 氷床変動を引き起こす最大の原因は氷床の融解である。そこには大気の温暖化を背景とする海水の温暖化と、偏西風の影響がある。20世紀以降に生じた10数センチメートルの海水準上昇でさえ、小さな島国や標高の低い国土を抱える国々に深刻な影響を与えている。

 昨年のノーベル物理学賞は、気候変動研究者の一人・眞鍋淑郎先生が受賞した。杉山氏は海水の温暖化という、人類にとって重要な問題を詳説している。

パイナップル

南国フルーツの代表格のパイナップルには、8月1日の「パインの日」と8月17日の「パイナップルの日」と記念日が2っあり、両日とも語呂合わせから制定されました。缶詰で年中食べられるとはいえ、生のパイナップルは栄養も効能も豊富に含まれています。お腹の調子を整える食物繊維、高血圧やむくみ予防のカリウム、中でもブロメラインという酵素には抗炎症作用があり、消化の促進や腸内の有害物質を分解する作用もあると言われています。パイナップルの旬を迎える美味しい季節。暑い夏を元気に乗り越えていきたいですね。

蓮始開(はすはじめてはらく)

7月12日~7月16日頃を「蓮始開(はすはじめてひらく)」と呼びます。1年を72の季節に分けた七十二候のひとつで、蓮の花が咲きはじめる頃という意味があります。蓮の花言葉は「清らかな心」「神聖」で、仏教やヒンドゥー教、ギリシャ神話など、世界中で象徴や国花としても親しまれています。蓮は早朝に花が開き、昼頃には徐々に閉じていき、一度花が開くと3~4日で散るそうです。暑い日が続きますが、蓮を見に少し早起きをして、ひとときでも涼しい夏を感じてみてはいかがでしょうか。

改正公益通報者保護法について②

 コンプライアンス(法令順守)違反発覚のため倒産する企業は毎年200件ほど。内部通報体制が整うことでリスクの早期発見につながり、最悪の事態の回避ができます。従業員がまず内部通報をするのは、会社のためを思っての行動と取れます。内部通報者を「裏切者」と捉えていたなら改める必要があります。

 内部通報体制が機能するかどうかは、通報しやすいか否か。通報しやすいというのは、通報しても不利益な取り扱いを受けず、かつ、会社が守ってくれると信頼してくれる環境を言います。通報しづらい会社は従業員に信頼されていない証拠です。従業員に信頼されていない会社の行く末が暗いことは言うまでもありません。

改正公益通報者保護法について①

 公益通報者保護法は、事業者の不正を発見した労働者が、通報などを理由として解雇などの不利益な取り扱いを受けることのないよう保護を図り、通報しやすい環境を整えることで、不正の早期発見および是正により社会に利益をもたらすことを目的として、2006年に施行されました。しかし、罰則がなく報復的人事が後を絶たなかったため、また、実効性のある通報制度の整備や運用が必要とされたことから、22年6月から、改正公益通報者保護法が施行されます。

 改正の内容としては、保護される通報者の範囲や通報内容が拡大、通報の要件が緩和され、通報がしやすくなりました。通報によって企業が被った損害賠償を通報者に請求することが禁止されました。事業者に対しては、窓口の設定、調査、是正措置を取る業務に従事する社員を指定するなど必要な体制の整備が義務付けられました。従業員数300人以下の事業者は努力義務とされていますが、会社規模を問わず内部通報体制の整備は重要です。

私の一冊

「パーパス経営」

名和高司 著 東洋経済新報社 2021年5月刊

 毎年1月にスイスで開催される世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)。近年の中心テーマは、資本主義の終焉である。しかし、その先が見えない。資本主義の終焉を危惧するのであれば、新たなる主軸を見つける必要がある。「21世紀の価値創造の基軸は『ヒト』、すなわち人的資産である。しかも、その源泉は自分のための欲望ではなく、他者にとっても価値のあることをしたいという信念、すなわち志こころざし(パーパス)だ」と著者は言う。

 日本を代表する企業アドバイザーの名和氏も提唱する「パーパス経営」は今、世界中で注目されている。物理的拡大から精神的な充足へとヒトの価値観そのものの大転換が求められている。

プレスリリースの書き方③

 提供の仕方を工夫することも大事です。確実な方法として「時事的な話題×載せたい情報」というものがあります。例えば、クリスマスなどの季節行事に寄せて自社製品をアピールする手法です。時事的な話題で記事を書きたいと思っている記者のニーズに沿う形で情報を提供できれば、記事化のハードルはぐっと下がると思います。

 また、記者と知り合いになればさらに効果的です。記事の署名から自分の住む地域や業界を担当する記者の名前を把握し、じかに連絡を取ってリリースを売り込んでみてはいかがでしょうか。最初からうまくいくことはまずないでしょう。記者側もさまざまな課題や困り事を抱えて仕事をしています。記者の課題解決、例えば面白いニュースを提供したり、コメント取材の適切な助言などをしたりするこで、記者の姿勢にも変化があるかもしれません。

プレスリリースの書き方②

 リリースは「見出し」が勝負です。リリースを仕分けする経済部や社会部のデスクは1件当たりほんの数秒で判断しています。ちらっと見出しを見て注意を引いたものだけが取材候補になるのです。見出しでいかに引き付けるかが勝負になります。

プレスリリースの書き方①

 新聞などメディアの記者が取材をしたくなるような「刺さる」プレスリリースをつくるには、まず相手を知ることが大事です。一般にメディアの記者は中立、公平な立場から公益に資する記事を書いていますから、自分の記事を広告代わりにされることを嫌います。宣伝に利用しようとの意図を察すると、記事の扱いが小さくなることがあります。効果的なパブリシティー(メディアに向けた情報発信)には記者の仕事を理解し、尊重する姿勢が大切です。

 メディア自体を知ることも必要です。記事掲載を目指す媒体が、どんな記事や番組を取り上げているのか、よく研究する必要があります。