9月9日は重陽(ちょうよう)の節句

9月9日は重陽(ちょうよう)の節句です。古来、中国では奇数を陽の数とし、一桁で最大の陽が重なる9月9日は大変めでたい日とされていました。時代とともに日本にも広まり、旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句、収穫の時期にもあたることから栗の節句とも呼ばれています。菊の花を飾り、長寿を願って菊の花びらを浮かべたお酒を酌み交わし、秋の収穫を祝い栗ご飯を食べていたそうです。昔は盛んに行われていた重陽の節句。今まであまり親しみのなかった方も、今年は菊花や栗料理を用意して節句を楽しんでみてはいかがでしょうか。

「花火」の歴史

 夏の風物詩の一つ、「花火」の歴史は江戸時代。火事が多発し、消防の理由から花火禁止令が出たというほど、花火は昔から多くの人々を魅了してきました。よく聞く「たーまーやー」「かーぎーやー」という掛け声は、江戸時代の有名な花火師の屋号「玉屋」と「鍵屋」が由来と言われています。時代はめぐり、今では数百もの煙火会社(打上花火製造会社)が様々な色や形の花火を楽しませてくれています。昨年に比べ、今年は開催する花火大会も増えるそうなので、自分好みの花火師を見つけて、新しい掛け声をあげてみるのも楽しいかもしれませんね。

私の一冊

あなたとSDGsをつなぐ「世界を正しく見る」習慣

原 貫太 著

KADOKAWA 2021年12月刊

 発展途上国への寄付のその先が、どのようになっているのか?先進国の生活で何げなく使っているものがどのような経緯で作られ、途上国にどのような影響を及ぼしているのか?アフリカはなぜ今も経済的自立ができないのか?途上国と先進国の貧困問題の違いとは?

 われわれ日本人がごく普通に生きているだけではなかなか意識しないことについて、実例を挙げて紹介されています。本書の中にもある「人々の無関心」が、世界の社会問題へとつながっていると思うと、非常に考えさせられます。

 それと同時に、無意識になりがちな事柄に関心を持ち続け、知ることこそ大切なことだ、と感じた一冊でした。

私の一冊

「また、必ず会おう」と誰もが言った。

喜多川泰 著

サンマーク出版 2010年11月刊

「ディズニーランドに行った事がある」とうそをついてしまった田舎の高校生が、うそを取り繕うために夏休み一人で東京へ。そこから始まる人々との出会いによって、一生忘れられない思い出を手にすることになる。

 話の流れが5日間に分かれていて読みやすい。日を追って変わっていく彼の心境は、誰もが「自分にも当てはまる」と感じられるところが多く、共感しやすいのではないか。

 「旅は人生を変えるきっかけになります。人生は誰と出会うかで決まるのです」。作者が高校生に話す姿を見て、自分の人生もその通りだなと思った。

私の一冊

塹壕の4週間

フリッツ・クライスラー 著

伊藤氏貴 訳

鳥影社 2021年7月刊

 にわかには信じがたい。かの著名な作曲家がオーストリア軍人として従軍し、しかもウクライナの地でロシア軍と戦っていたとは。

 これまで「クライスラー」と聞いても過去の偉人で、小学校の音楽室に飾られた額から、ギロリとこちらを見つめる一人としか思っていなかった。しかしこの本と出合い、私よりも若い年齢で出兵し、ウクライナへ向かったことを序章で知り、今まさに起こっている戦争と本書の内容とが、入り交じりながら頭の中に構築されていった。著者の描写がとても素晴らしく、まるでテレビニュースで流れる映像のように感じられる手記であった。

 最後にお断りしたいのは、本書において、音楽に関する記述は全くないこと。ただ、読み終えた後に楽曲を聴けば、感慨ひとしおなことは間違いない。

7月27日は「スイカの日」。

 7月27日は「スイカの日」です。スイカの縞模様を網に例え、「つ(2)な(7)」と読んだ語呂合わせから制定されました。英語で「watermelon」というように、果肉の90%以上が水分です。スイカには、高血圧や骨粗しょう症予防に効果的なカリウム、血流や体のむくみ改善に効果的なシトルリンなどが含まれ、捨ててしまいがちな皮にも栄養があります。漬け物やきんぴらにすると皮の白い部分まで美味しく食べられるのだそうです。これからが夏本番ですが、スイカでしっかり水分を補給して、楽しい夏を過ごしましょう。

私の一冊

オシムの言葉

木村元彦 著

集英社(集英社文庫)2008年5月刊

 「リスクを冒して攻める。その方がいい人生だと思いませんか?」

 弱小チームを再生させ、日本代表チームを率いたイビツァ・オシム氏。

 1989年のベルリンの壁崩壊に続く、旧ユーゴスラビア共和国(現在は北マケドニア共和国)での民族主義の高揚、やがて残酷な内戦勃発、家族離散などに遭遇しながら、ユーゴ代表監督まで務めたオシム氏のサッカー魂に見事に触れ、火花を散らすような取材が結実したのが本書『オシムの言葉』であった。

 「平和日本」とは対極にある分裂・分団の世界を、サッカーを捨てることなく、サッカーと共に生き抜いたオシム氏の存在感、あわ立つような臨場感が、この本にあふれている。

私の一冊

2040年「仕事とキャリア」年表

植田 統 著

三笠書房 2022年2月刊

 「2025年 『大リストラ時代』の幕開け」「43年 日本から『サラリーマン消滅』!?」、との本の帯が衝撃的であった。経団連がまとめる「2022年版経営労働政策特別委員会報告」には、ジョブ型雇用の「導入・活用の検討が必要」と明記。最近は「リスキリング」や「リカレント教育」という言葉も多く見られるようになっている。

 本書は新卒一括採用、年功序列、終身雇用、定年退職制度は、諸外国から見ると特殊であること、しかしなぜ、日本はメンバーシップ型雇用を採用し導入しているのか、と問題を提起する。そして、日本の雇用形態の限界を経済史から振り返り、「女性活躍や生涯現役を推進し、ジョブ型雇用に備えよ!」という著者のエールに納得しながら、あっという間に読み進められた。

「梅雨」について

「梅雨」はなぜ梅の雨と書くかご存知ですか?諸説ありますが、この時期は梅の実が熟す頃にあたることから「梅」の字を使うようになったと言われています。呼び方の由来も様々で、雨が多く降って木々や植物に露がつく情景から「露(つゆ)」、熟した梅の実が潰れる様子の「潰ゆ(つゆ)」から呼んだという説があります。実は梅雨は掃除にピッタリな季節で、湿気が高くなるとホコリが舞いにくくなり、頑固にこびりついた汚れも落としやすくなるのだそうです。普段は億劫になりがちな掃除も、梅雨シーズンの間は頑張れそうですね。

私の一冊 失敗の科学

マシュー・サイド 著 有枝春 訳

ディスカヴァー・トゥエンティワン 2016年12月刊

 失敗と聞くとネガティブなイメージがあります。「失敗をしないようにするにはどうすべきか」ということが書かれているのではと予想しつつ本書を手にしたのですが、むしろ失敗をポジティブに捉えるべきである、ということを学ばせてもらいました。

 タイトルにある通り、本書ではさまざまな角度から失敗が分析されています。特に、航空業界と医療業界での失敗の捉え方の違いに関する事例は、自身の失敗への向き合い方を考えさせられる、非常に印象深い内容でした。

 「成功」の反対は「失敗」ではなく、「諦め」であると学んだことはあったのですが、本書から多くを学ぶことが成功への道しるべになることを知り、失敗に対する捉え方が大きく変わるきっかけを与えてもらえました。