私の一冊

不動産激変 ーコロナが変えた日本社会ー

牧野知弘 著

神伝社(新伝社新書)2020年9月刊

 コロナ禍は、人類社会に大きな影響をもたらした。人類がこれまで当然のように考えてきた「集中」「効率」の概念を一気に覆した。

 これまで非効率と思われていた「分散」した社会構造で働くことが、意外にも現在の情報通信端末やソフトウェアで十分可能であり、コロナ禍はそれを証明する機会になった、と著者は説く。世界中の人々が「分散」する快適性に気付いたのか、コロナ禍がもたらした副産物だというのである。これをテレワーク、巨大オフィスの移転、郊外衛星都市の復権など、さまざまな事象から例証していく。

 この分散社会を支えるのが情報通信を基軸としたネットワーク社会。ビジネス、ライフスタイル、都市、不動産―あらゆるパラダイムシフトが起きている今の時代に、叡智を与えてくれる一冊。